日韓夫婦の子供は二重国籍になりますが、きちんと理解できていない人も多いようです。
日韓の国際結婚夫婦から生まれた子供は、出生と同時に日本と韓国の両方の国籍を取得することになります。今まさに子供を育てている日韓夫婦や、またこれから結婚を考えている日韓カップルにとっては、当然のことだとして受け入れられていると思います。しかし意外なことに、私たちの親世代にとってはそれは当たり前なことではないようです。
妻が妊娠して初めての名節は2019年の秋夕でした。出産予定日が11月だったので、出産まであと少しというタイミングです。その場で親戚の方々に囲まれて言われたことが…
- 子供の国籍は日本になる
- 韓国は父系社会なので子供は父親の国籍を受継ぐ
- 戸籍上は父親(たろ)が戸主になっている
- 子供はその戸籍の下に入るから父親の姓を受継ぐ
- 子供は韓国では外国人として暮らすことになる
- 韓国人の子供は無償教育などの社会的な支援を受けられる
- 外国人の子供でも支援が受けられる方法があるか調べているのか
いやいやいや、そうではなくて二重国籍になるんですよと説明しても、そんなはずは無い、ちゃんと調べろと言われ続け…。出産間近なのにまだ調べてないのか、最近の若いもんはダメだな、という烙印まで押されました…。お互い違う世界の話をしているようで、全くかみ合わなかったです。
大丈夫だとは思いますが、一応正解も載せておきますね。
- 子供の国籍は日本・韓国の二重国籍になる
- 日韓ともに父母両系血統主義なので子供は父母両方の国籍を受継ぐ
- 韓国の戸主制は廃止され戸籍は家族関係登録簿に変わった
- 父親が外国人の場合に子供は母親の姓と本を受け継ぐことができる
- 子供は韓国では韓国人として暮らすことになる
- 二重国籍の子供も他の韓国人の子供と同様の扱いを受ける
さて、このことがきっかけとなり、日韓の国籍について深く調べるようになりました。そして、なぜ親戚の大人たちが上記のような主張をしていたのか、その理由も分かりました。
父母両系血統主義
韓国の国籍法は1998年6月14日に大きな改正を行っています。この法改正で最も大きなポイントは、それまでの父系血統主義から父母両系血統主義への変更です。
국적법 제2조 다음 각호의 1에 해당하는 자는 대한민국의 국민이다. 1. 출생한 당시에 부가 대한민국의 국민인 자 【翻訳】国籍法第二条 次の各号のいずれかに該当する者は大韓民国の国民である 1. 出生当時に父が大韓民国の国民である者 (1997年改正前 国籍法)
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국적법 제2조 다음 각호의 1에 해당하는 자는 출생과 동시에 대한민국의 국적을 취득한다. 1. 출생한 당시에 부 또는 모가 대한민국의 국민인 자 【翻訳】国籍法第二条 次の各号のいずれかに該当する者は出生と同時に大韓民国の国籍を取得する 1. 出生当時に父又は母が大韓民国の国民である者 (1997年改正後 国籍法)
法改正前には父親が韓国人であった場合にのみ、その子供が韓国国籍を取得しましたが、法改正後は父か母のどちらか一方が韓国人であれば、子供も韓国国籍を取得することになりました。親戚の大人たちは改正前の法律を常識だと思っており、その後に改正されたことを知らなかったため、前述のような食い違いが起こったようです。いやしかしもう20年以上も前に変わっているんですが…。
ちなみに日本でも、1984年の法改正以前は父系血統主義を採っていました。そのため、生まれた時期によって子供の国籍は以下のようになります。
日本人父 韓国人母 | 韓国人父 日本人母 | |
1984年以前 | 日本国籍 | 韓国国籍 |
1984〜1998年 | 日本国籍 | 二重国籍 |
1998年以降 | 二重国籍 | 二重国籍 |
なかなか複雑ですね。
うちの子供はちゃんと二重国籍ですよ。