結婚文化

日韓での結婚観にもいろいろと違いがありますが、結婚にかかる費用もまた大きく異なっています。

動画の中でも語っていますが、日本の結婚が法的な手続を重視するのに対し、韓国の結婚というのは周囲への報告という意味合いが強いです。このことにより、意識的か無意識的かを問わず、結婚する相手や条件、また式自体にも「他人に見せても恥ずかしく無い」という基準をクリアすることが求められるようになります。逆に、結婚式を挙げない「ナシ婚」などは、他人に見せるのが恥ずかしいような結婚なのだろうと、周囲から見られる可能性が高いです。

例えば女性が結婚相手の男性に求める理想の年収は、日本では400万円〜500万円が最も多く、発表はされていませんが概算で平均値を出してみると520万円程度になります。一方の韓国では民間の調査で平均5270万ウォンという結果が出ています。日本人男性会社員の平均年収が545万円、韓国人男性会社員の平均年収は4164万ウォンです。平均年収と理想の年収のギャップに注目すると、韓国の方は1000万ウォン以上の開きが出ており、より高い理想を結婚相手に求める傾向にあることが分かります。また、韓国の同調査では結婚相手の男性に求める理想の資産規模は約2億5千万ウォンという結果となっており、平均値ということなので一部の極端な回答が値を押し上げていることを考慮してもなお、日本では考えられない高い数字です。

これは韓国の「新郎側が家を準備し、新婦側が家具を準備する」という慣習によるところが大きいと考えられます。韓国では持家を所有する以外に、賃貸の場合は伝貰と月貰という形式がありますが、「新郎側が家を準備」したと認められるためには「持家か最低でも伝貰」という風潮があります。伝貰は住宅価格の5〜7割程度の保証金が必要になってくるため、結婚相手の男性には最低それくらいの資産はあってほしい、というのが韓国女性の思いのようです。

ただ、近年韓国では不動産価格が高騰しており、新居の購入や伝貰保証金の準備ができない新婚夫婦も増えており、月貰で新婚生活を始めるケースも多くなっています。それにより、実際にかかる結婚費用は毎年下がってきているのが現状です。実際に結婚するカップルの間では、「新郎側が家を準備」というのがもはや現実的でないということが受け入れられ始めているようです。

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27,42026,33223,08523,186 15,332
DUO結婚費用実態報告書(単位:万ウォン )

現実にはこのような実態であり、また国や各自治体が新婚夫婦を支援するために提供している伝貰資金ローンなどを利用することで、実際に現金で用意しなければいけない結婚費用はかなり抑えられるのですが、依然として「結婚するためには数億ウォン必要(だから俺にはムリ)」と漠然と考えている人も多いようです。

それでも結婚する子供のためにはできる限りのことをしてあげたい、と思うのが親心なのでしょうか。両親が住んでいる家を子供に譲ったり、ソウルから田舎へ、広い家から狭い家へと引越して差額分を子供に贈与するという親も少なくないようです。ただし、親にとっては全財産とも言える家を子供に譲るのですから、子供にとっても親の老後の面倒を見るという責任がついてきます。毎月数十万ウォンの生活費を親に仕送りするのです。

これがまるで家という資産を差し出す代わりに老後の年金をもらうようで、「子息年金」なんて言葉も存在するほどです。ただ、親子間で貸し借りが発生する状況や、夫の実家と妻の間で確執の原因になったりすることを嫌い、最近では子供の方から親の支援を拒否するケースも増えているようです。親の方も家を住宅年金(リバースモーゲージ)で運用することで老後の生活費とすることができます。

結婚式はもちろん、新居の準備まで、家族ぐるみの大イベントなのが韓国の結婚です。

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