日本と韓国どちらの国も結婚をしない人が増えていますが、詳しく見てみるとかなり意味合いが異なることが分かります。
2015年の出生動向基本調査によると、日本の未婚者は結婚自体に対して否定的なイメージを持っているわけではなく、8割以上の人たちは「いずれ結婚する」と考えていることが分かります。未婚である理由に対する回答のトップは20代が「まだ若すぎる」であるのに対して、30代では「適当な相手にめぐり合わない」であるというのも、まぁそういうことなのでしょう。
一方の韓国は「結婚する考えがある」と答えた割合が男性で6割弱、女性では5割弱と、日本に比べてかなり低くなっています。未婚である理由を見ると、20代は日本と同じく「まだ若すぎる」であるのに対して、30代では「所得が少なくて」「家を準備できていないため」などの経済的な理由が上位を占めているのは日本と異なる点です。
韓国では結婚するために莫大なお金が必要だと考えられており、また結婚後に子供が生まれた場合には習い事などの養育費もかなり多くかかるため、金銭面への心理的負担が大きいです。2015年から2018年までの3年間で、結婚に肯定的な回答の比率が大幅に下がっていますが、女性側は韓国におけるフェミニズムの台頭が一役買っているとして、男性側ではここ数年の不動産価格の高騰による影響が大きいのではないかと思っています。
また、韓国の調査では「分からない」という回答がかなり多いことも特徴的です。日本人の独身は未婚という結果であるのに対して、韓国人の独身は非婚という選択でもあるため、未だ判断に迷っている若者が多いということでしょう。
動画の中でも話しているとおり、韓国では結婚に対して否定的な人でも、恋愛に対しては積極的ということも珍しくはありません。データが少し古いのが残念ですが、日本と韓国それぞれの未婚者(18〜34歳)が異性と交際している割合を表に示しています。日本に比べて韓国の方が交際中である割合が高く、また現段階で交際をしていないとしても交際することを望んでいる割合も高いことが分かります。
日本男性 | 日本女性 | 韓国男性 | 韓国女性 | |
婚約者・恋人と交際している | 21.3% | 30.2% | 36.4% | 37.8% |
交際していないが望んでいる | 51.4% | 50.1% | 65.2% | 60.4% |
日韓どちらも未婚率の高さが社会的課題となっていますが、それぞれの傾向を整理してみると以下のように言えます。
- 日本は結婚に対して否定的ではないが、積極的といえるわけでもなく、そもそも恋愛に対して積極的ではないため、その延長上にある結婚も増えず、結果として未婚率が高くなっている
- 韓国は恋愛と結婚は別物と考えており、恋愛に対しては(日本よりは)積極的ではあるが、結婚そのものに対して消極的であるため、未婚率が高くなっている
結婚する・しないという選択が個人の自由として尊重されるべきものであると同時に、社会全体として見た場合にはやはり非婚化やそれに伴う少子化は問題であると言わざるを得ません。韓国の民間の調査からは、多くの(71.8%)未婚者本人たちでさえ、「非婚」は個人の選択というよりも社会的問題によって引き起こされた結果であると考えていることが分かります。
国や行政による対策が必要不可欠ですが、それだけではなく自分たちに何ができるのか、何をするべきかについても考えていく必要があるように思います。
※日本の調査は「友人として交際している異性がいる」という選択肢があるが、韓国の調査では「이성 친구(애인)」となっているため、それに相応する「婚約者がいる」「 恋人として交際している異性がいる」に限定した。また、韓国の調査は対象年齢が44歳までだったため、比較のために日本と同じ18〜34歳のデータのみを再集計した。